国民年金の前納制度とは?クレジットカードでお得に割引する方法

国民年金を半年~2年分まとめて前払い(前納)することで、支払額を少なくできるのをご存じでしょうか?

特に2年分をクレジットカードでまとめて支払うと、毎月ごとに支払うより、かなりお得にすることができるんです。

今回は、そんな国民年金の前納制度について、前納制度とは何かといったところから詳しく解説していきたいと思います。

 

■この記事で分かること■
・前納制度とは何か
・前納の支払い方法の比較
  最も割引となる方法
・前納の手続き方法
・前納の注意点

 

 

 

国民年金の前納制度について

国民年金の前納制度とは?

国民年金は20歳以上60歳以下の日本国民が加入するものです。

その中でも自営業者やフリーランスなどの第1号被保険者と呼ばれる方たちは、自分で国民年金を納付をする必要があります。

2022年時点の保険料は月額16,590円で、毎月この額を納付書や口座振替等で納付していくことが基本です。

ただ、前納制度を利用して、まとまった期間分を前払いすることで、毎月ずつ納める場合よりもトータルの支払額を安くすることができます。

 

前納は何か月分からできる?

前納する期間は、6か月、1年、2年の3種類から選ぶことができます

支払いの対象期間は以下のとおりです。

  • 6か月分は、4月~9月分、10月~翌年3月分の2回
  • 1年分は、4月~翌年3月分
  • 2年分は、4月翌々年3月分

※このほかに、口座振替の当月末振替(早割)の毎月納付で割引となる方法もありますが、今回の記事では説明は省略します。

 

割引額は、前納期間が長いほど大きくなります。

最も割引されるのが2年分まとめての前納で、1か月ずつ納付した場合と比べて、約15,000円もの割引になります。

そのため、一度にまとまった金額を支払える方は、2年納付をするのがおすすめです。

 

2年納付で例えば、30歳から60歳まで2年前納を続けたら、支払いは15回あるので、15000円×15回で、22万5,000円もお得になりますね!

 

前納の支払い方法は何がある?

前納の支払い方法は、口座振替、現金、クレジットカードの3つの中から選択できます。手数料はいずれの方法もかかりません。

 

口座振替やクレジットカードでの納付をしたい場合は手続きが必要になります。

ちなみに、納付書をコンビニに持っていき、クレジットカード払いするということはできません。

 

具体的な支払額と割引額の比較

納付額は、前納する期間(6か月・1年・2年)と支払い方法(口座振替、現金・クレジットカード)によって異なります。

表の上の数字は実際に納める金額、下の数字は、毎月納付の場合と比較した割引額を示しています。

前納期間 口座振替 現金・クレジットカード
6か月前納 98,410円
1,130円割引
98,730円
810円割引
1年前納 194,910円
4,170円割引
195,550円
3,530円割引
2年前納 381,530円
15,790円割引
382,780円
14,540円割引

※令和4年度時点の金額です。

 

この表を見ると、最大で割引されるのは、口座振替での2年納付だということが分かります。

ただ、クレジットカードであれば、カード会社ごとのポイントが付くので、高還元率のクレジットカードを選べば、口座振替よりもポイント分お得になる場合があります。

 

クレジットカードでお得にするには?

では、クレジットカードで支払う場合、どのようなカードを選べば口座振替よりもお得にできるのでしょうか?

2年納付をする場合で計算してみます。

口座振替とクレジットカードの割引額の差は、15,790円-14,540円=1,250円なので、1,250円分以上のポイントが付けば、クレジットカード支払いのほうがお得ということになります。

クレジットカードの2年前納の納付額382,780円です。この金額に対して1,250ポイント以上をもらうには、還元率0.4%以上のクレジットカードを選択する必要があります。

※還元率0.3%だと1148ポイント、還元率0.4%だと1531ポイントになります。

還元率1%=100円で1ポイント。

クレジットカードは何が使える?

クレジットカードは、下記のマークが付いたカードであれば、利用することができます。

VISA
MasterCard
ダイナースクラブ
JCB
アメリカンエキスプレス(アメックス)

 

ただし、指定代理納付者に該当するクレジットカード以外で申し込む場合は、カードの有効期限が切れる前に、改めて申込書の提出が必要となります。

手間が少しかかるのと、有効期限切れを忘れないように注意する必要がありますが、この点を気にしなければ、特にどのカードを選んでも問題ないでしょう。

指定代理納付者に該当するクレジットカードは、こちらのページをご確認ください。

 

おすすめのカードは?

クレジットカードを新しく申し込むなら、還元率1.2%と高いリクルートカードがおすすめです。

リクルートカードは年会費無料で、たまったポイントはPontaやdポイントに交換することができます。

国民年金や公共料金の支払いにもポイントが付与されます。

2年前納をすると約4,600円のポイントがつくことになるので、もともとの割引額と合わせると、約1万9,140円もお得になりますね!

 

ちなみに、楽天カードも還元率が1.0%と高く、おすすめのカードとしてよく挙げられることがあります。

しかし残念ながら、2021年6月以降、公共料金等の支払いは500円につき1ポイント(還元率0.2%)の付与になってしまったので、国民年金の支払いにはおすすめできません。

 

前納制度の手続きについて

手続きの仕方は?

前納制度を利用するには、事前に書類提出の手続きが必要です。

ここでは、支払い方法ごとの手続きの仕方を紹介していきます。

 

1)口座振替

口座振替をする銀行の窓口か年金事務所へ申出書の提出が必要です。年金事務所でしたら郵送で提出することもできます。

申込期限は、毎年2月末までです。

振替の開始月に、口座振替開始の通知はがきが届きます。

 

2)クレジットカード

年金事務所へ申出書の提出が必要です。郵送で提出することもできます。

申込期限は、毎年2月末までです。

手続きは書類提出から2か月ほどかかるため、早めに申し込みするようにしましょう。

納付開始月に、通知はがきが届きます。

 

口座振替とクレジットカード納付の手続きについて、詳しくはこちらをご確認ください。

 

3)現金

6か月・1年分の前納の場合は手続き不要で、毎年4月以降に届く納付書で納付することができます。

2年分の前納は年金事務所への事前の申し出が必要で、毎年2月1日から申し出の受付を開始しています。

年金事務所に現金納付したい旨を伝えると専用の申出書が送付されますので、3月末までに提出します。

こちらも納付書は4月以降に届きます。

納付書を用いて、金融機関、郵便局、コンビニ等で支払います。インターネットバンキングで自宅から納付することも可能です。※2年前納の場合は、コンビニ納付は不可となります。

 

※現金での2年前納の手続きについては、こちらをご確認ください。

 

納付額の引き落とし日は、いつ?

1)口座振替

2年・1年前納の場合は4月末日に、6か月前納の場合は4月末日と10月末日に口座から引き落としがされます。

2)クレジットカード

クレジットカードの場合は、納付の前に、まず利用可能枠(利用限度額)とカードの有効期限が切れていないかどうかの確認が行われます。有効な場合のみ、カード会社が立替納付を行います。

◎有効かどうかの確認期間◎

6か月前納:4月と10月の第8営業日~18日の間

1年・2年前納:4月の第8営業日~18日の間

(前月末日が非営業日の場合第9営業日~となります)

上記の期間に利用明細に記載され、翌月月末など、クレジットカード会社の定める引き落とし日に、口座から納付額が引き落としされます。

 

前納制度の注意点

①前納だと大きな金額になるため、無理のない範囲で。

割引はうれしいメリットですが、特に2年前納となると一度に大きな金額を支払わなければならないため、無理のない範囲で前納を行うようにしましょう。

また、クレジットカード納付の場合、利用限度額は納付額以上きちんと確保できているかどうか必ず確認が必要です。また、有効期限が切れている場合も引き落としがされないため注意しましょう。

もし有効が確認されず引き落としができなかった場合、4月(10月)分は納付書での現金納付、それ以降は対象期間分、ずっと毎月納付の扱いになり割引がきかなくなってしまいます。

 

②申し込みは早めにする!

口座振替とクレジットカードの前納の申し込みは2月末までです。

申込期限に間に合わない場合、1か月ずつの引き落としとなってしまうため、次の申込期限まで割引が適用されません。

特にクレジットカードの場合、手続き完了まで数週間~2か月はかかるため、申出書の提出は早めに行うようにしましょう。

 

納付額は社会保険料控除にできる

国民年金保険料は、全額、社会保険料控除の対象となります。(納めた金額分、所得にかかる税金を支払わなくてよいということ)

ちなみに、2年前納した場合、支払いをした年度にまとめて2年分を控除の対象とするか、1年ずつ分割するかは選択することができます。

事業を始めたばかりで収入が安定しない方などは、所得が少ない年に2年分一括を控除対象としてしまうと、控除額を活用しきれない可能性もあります。

1年分か2年分かは、自分の収入状況に合わせて選択するようにしましょう。

まとめ

今回は国民年金の前納制度でお得にする方法を解説してまいりました。

活用できる制度は存分に活用して、自営業やフリーランスの生活を少しでもお得にしていきましょう!